- とりくみ
- コープのあるまちで vol.8
“混じり合うきっかけ”で
誰かと何かを一緒に
宮崎 宏興さん
作業療法士としての経験から「特定非営利活動法人いねいぶる」を設立。理事長を務める傍ら、誰もが誰かを包み込む社会をめざし、コープこうべをはじめとした団体や行政とも連携。
「いねいぶる」では、たつの市を拠点に障がいがある方の生活や就労をお手伝いしています。作業療法士として働く中で、心と身体は退院できる状態でも、周囲の受け入れ態勢が整わず施設に入る患者さんを大勢見てきました。そこで誰もが望む生活を送れる社会にしたいとNPO法人を立ち上げました。
さらに発展して、人と人が“混じり合うきっかけづくり”をしているのが「たつのソーシャルインクルージョンプロジェクト(T-SIP)」です。T-SIP運営の子ども食堂に、コープこうべに寄せられた「フードドライブ」の食品を提供してもらうようになったころ、コープ龍野から「店舗をもっと地域の人たちが活用できる場にしたい」と相談がありました。地域の衣食住を守る買い物施設は、いろんな人が交差する場所です。だからこそ買い物の延長で“誰かと何かを一緒にできる地域交流拠点”になれるはず。職員さんや組合員さんと多様な取り組みをしています。
例えば、食材や料理など自分ができるモノやコトを集めて“0円カレー”を作るイベントでは、マイ容器の持参でプラスチック削減に挑戦。これには、少しだけ煩わしさを抱えながら社会問題を意識し、考えて欲しいという狙いもありました。近隣の小学生が総合学習の一環としてコープの店舗でプラスチック削減やエシカルの取り組みを学ぶ企画も進行中。最近では来店客が増えたと聞いています。
実験的な試みが成功したのはコープさんに「社会のために何かしたい」という素地があるから。この成功事例を市内で広げていきたいです。究極の夢は、「いねいぶる」のような団体が必要のない社会になること。そのために今何をすべきか、考えながら活動していきたいです。
宮崎さんが進めているのは、誰かに役割が集中するのではなく、関わり方にグラデーションを持たせ、皆に関わりしろがある活動。“できることから”でいいんですね!
(組合員ライター 行本 美栄子)