コープのあるまちで vol.6/「ヘルプカード」(一例)を貼ったビブスのイメージ

「みんなで助かる」
災害に強いまちに

湯井 恵美子さん

一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会
福祉防災上級コーチ
大学院の博士課程で研究をしながら、各地で講演活動や特別支援学校、福祉施設の防災支援などを行っている

兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の1期生として「福祉防災」を研究しています。この研究科は阪神・淡路大震災の経験やその後の復興の知見を生かし、2017年に全国に先駆けて設立されました。
私の息子には重度の知的障がいがあります。普段からいろいろな人の支えが必要で「非常時には息子の命を守れないのでは」と、防災の勉強会で気付かされたのがこの研究を始めたきっかけ。福祉防災に関わる者として地域の防災、減災に関わっていきたいと思いました。

福祉防災で大切なことは、地域の人たちと一緒に“当事者意識”を共有すること。地域の防災計画では、行政、自治会、学校やPTAなどが立場を越えて、お互いの安全・安心のためのルールづくりを考えます。多様な団体と連携し、さまざまな意見を集められるよう働きかけるのは福祉防災の当事者としての私の役目だと思っています。

「自分たちのこと」としてそれぞれの立場で考えていきます

これからの研究テーマは、「みんなで助かる福祉防災のルールづくり」。
安全な避難場所を決め、そこへ安全に移動する方法を普段から考えて準備し、訓練していると、いざというときに役立ちます。知的障がいのある人は自分から要望を伝えることが難しく、周りの人も接し方が分からないなど、上手な避難ができない場合があります。そこで、手伝って欲しいこと、苦手なこと、好きなことや得意なことなどの情報を書いた「ヘルプカード」を作ったり、それをビブス(メッシュ地のベスト)に貼ったりと、助け合いのかたちを作る活動をしています。

「ヘルプカード」の一例。
呼びかけ方や誘導方法など周囲の人に知ってほしいことを伝えます

コープこうべには「助けて欲しい」「○○なら手伝える」と言える、助け合いのしくみがあるのが強み。組合員同士がつながって、そのネットワークを災害支援に生かして欲しいと思っています。防災を「わがこと」として考え、日々のくらしから“災害にも強い”“みんなで助かる”まちづくりを一緒に進めていきましょう。

取材を終えて

「いざというとき自分はどこにどうやって逃げるか」と想定し、防災の準備や情報収集をすることが身近に感じられるようになりました。「わがこと化」の第一歩です。

(組合員ライター 植田愛子)

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